思考法

運命を全うする

悩みのない人など世の中にはいない。「こんなはずじゃなかったのに」「どうしてこうなってしまったのだろう」「私は一体、何をすれば良いのだろう」。そんなときに一つの指針を与えてくれるのが本書『ジェダイの哲学』だ。

■『ジェダイの哲学』とは

『ジェダイの哲学』の著者名は“ジャン=クー・ヤーガ”。ルーク・スカイウォーカーよりもずっと後の時代のジェダイという設定だ。本書は彼が若きパダワン(ジェダイになるための訓練生のこと)にジェダイの教えを説くというかたちで綴られてゆく。

本書はおもしろい読み物であると同時に良質な自己啓発書である。そう言うと、人によっては「SF娯楽になにを」と思うかもしれない。しかし本書はスター・ウォーズの世界設定を上手に借りつつも、深く人の生き方を追求している。「人の悩み」の解決ノウハウを記した書籍は数多くあるが、その悩みの核心にまで踏み込んだ上で「では、人はどうするべきか」をモチーフにしたものはけっして多くはないからだ。

まずは省略を交えつつ、本書の冒頭を抜粋しよう

 

若者よ、私に相談があるそうだな?
何? 「ジェダイになりたい?」
なんでまたジェダイになりたいのだ?
「みんなが尊敬するような、価値のある人間になりたい」?
今のきみには価値がないと思うのか? そんなことはなかろう。
大切なのは自分という存在をどうとらえるかだ。

ジェダイの職務はきみが思っていたものより、ずっと地味なものだ。
何かに憧れ、「ああなりたい」と願うことはけっして悪いことではないが、うわべの格好よさや評判のよさだけに目を奪われ、本質を見誤ったまま目指してしまうと苦しいだけだ。本来の自分ではないものを目指すわけだからな。

だから、きみにあらためて問いたい。
本当のきみは何をしたい?

きみも感じているはずだ。ふとしたときに胸中をよぎるあの虚しさ。
朝、目が覚めたときの言いようのない悲しさを。
「こんなはずじゃない。自分はもっと何かができるはずだ」
そんな心の声を聞いたことがあるだろう?
「でも、自分が本当は何がしたいのかわからない」?
では、私がフォースの道を教えてやろう。

・フォースとは

スター・ウォーズの世界観を貫いているフォースとはなにか。フォースとは直訳すれば“力場”のような意味合いになるが、本書においては『天地自然の理』や『本当の人生の道のり』とたとえて読むとわかりやすいだろう。

 

 

■運命を見つけ、流れに従う

 

①内面の声に従う

『ルーク・スカイウォーカーは水分農場で生活している間、いつもやり場のない不満を抱えていた。』

まず目を向けるべきは自分の内面の感覚である。「何かが違う」「満たされない」「自分の居場所はここじゃない」という違和感が心のどこかにあるとき、それはフォースが「ちがう、そちらの道のりじゃない」と言っている。

不満があるとき、その本当の原因は自分の内面に起因している。そのためには自分が今行っていることで最もしっくり来るものの本質を探り当てることだ。自分が幸せに感じることはなんだろうとよく内面に目を凝らす必要がある。
 

②悲劇の意味するものは運命の転機

『ルーク・スカイウォーカーは2体のドロイド(R2D2とC3PO)と出会い、自分の運命を知る。しかし、圧倒的な銀河間戦争における自分の役割を告げられても、彼は水分農場の生活というこれまでの日常から離れることはできなかった。結局、彼が自分の役割を受け入れるきっかけは帝国軍の襲来と育ての親の喪失という悲劇だった。』

人は慣れ親しんだものから離れたがらない。これは無意識や本能的なものだ。しかしこれらをひっくり返すような大きな悲劇が人生には起こる。

悲劇は人生の一部であり、そこから逃れることはできない。だが、このような一連の出来事は運命が何かを訴えている。目を覚まして新しい一歩を踏み出さねばならない。

そして、新しい一歩を踏み出して本当に満足できる人生を送るためには、安住の道に留まるのではなく、自分の感情の抱き方や行動の理由を追求しなければならない。後は自分の天分を見つけてそれを発揮する道を探すことだ。

 

 

■手放しと創造

 

①手放しを通じて自由を得る

『ジェダイを探しに出たルーク・スカイウォーカーは、沼地の森の中で、案内を名乗り出るエイリアンと出会う。ルークは、このわがまま放題の老いた小さなエイリアンに苛立ちをぶつける。しかし、彼は“(ジェダイ)マスター・ヨーダ”に試されていたのだ』

人は誰しも親や教師から情報を得て「基準」を設ける。また社会は人に一般常識を刷り込む。しかし、これに対して自分で設けた基準であるかどうかをまずは疑う必要がある。なぜなら、それを無意識的に受け入れた時点で、それが自分にとっての現実となるからだ。

ここで学ぶことは、一度受け入れて手放すということである。受け入れて握りしめなければ人は手放すことはできない。この「手放す」という行為によって、人は初めて自由を知ることができるだろう。
 

②自由は現実を創造する。

『マスター・ヨーダの指導の下、ルークは沼に沈んだ戦闘機をフォースを用いて引き揚げようと“試みる”。しかし、自分にはできない、という心理的なブロックがそれを妨げる。マスター・ヨーダはフォースを用いて同様の行為を“やる”。戦闘機はいともたやすく宙に浮き、陸地に揚げられた。彼は“できると知っている”からだ』

本当の自由は、自分への足かせを外すようなものだ。たとえば遠い外国で暮らすことが難しいと思えば、それはその人にとっては難しいことだろう。しかし「できない」という思いを手放すことができれば、後に残るのは「やる」という素直な感情だけだ。それは目の前のコップを手に取るようなことと違いはない。
 

③思考は現実化する

『ルーク・スカイウォーカーはジェダイの訓練のため、ダークサイドの洞窟へと足を踏み入れる。そこで遭遇したものはダース・ベイダーであった。彼の恐怖が現れたのだ』

現実は内面を映す鏡である。高所が恐ろしければいかに安全であっても足がすくんで動けなくなるように、恐れによって自分自身を束縛すれば、相応の出来事が生じてくる。これは視点を変えれば、自分が何者になるかは、自分が何を信じて受け入れているかのよって変わってくるということだ。
 
 

■欲望との戦い

 

①苦しみの根源は恐れである

『アナキン・スカイウォーカーは奴隷であった母の解放を目標に、ジェダイとなるべく訓練に励む。しかし母は解放される前に現地の蛮族によって殺されてしまう。怒りに呑まれたアナキンは蛮族を皆殺しにしてしまう。やがて彼は最愛の妻を喪うことに危惧を抱き、恐れを募らせはじめる』

何かを持ってしまうと人は恐れを持つ。何かを失えば欠落感を持つ。ここから人の内面には欲望が生まれてくる。この根本は恐れであり、恐れはやがて焦りと怒りを生み出す。そしてそれは苦しみへと変貌する。

 

②直感に目を向ける

恐れ、不安、攻撃性はフォースの2面性の1つ、暗黒面である。自分がフォースに干渉できるように、フォースもまた人に干渉できる。たとえば「嫌な予感がする」ときは誰かが暗黒面の感情を抱いているかもしれない。自分の直感を信じることだ。

 

③感情をコントロールする

『ルーク・スカイウォーカーは彼の妹、レイアの存在をダース・ベイダーに知られたことにより、怒りを爆発させた。怒りはベイダーの右腕を切り落とすことへとつながったが、そのとき彼はフォースの暗黒面にとらわれていた』

感情はエネルギーであって、自己の本質ではない。怒りは一時的に力を一点集中させる。しかし怒りは恐れの裏返しであり、また長く持続できるものでもない。怒りに駆られると人はフォースからのさまざまな示唆を受け止めることができなくなる。

 

 

■生と死、そして人生

 

『ジェダイの哲学』では、総まとめとして「いかに生きるか」に焦点を当てている。

・現実をありのままに受け入れること
・思考や感情にとらわれず、直感を信じること
・執着はすみやかに手放すこと
・調和を重んじ、自らにバランスをもたらすこと
・今、この瞬間に集中すること
・愛に生き、至福を追求すること

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です